風の草刈り

草を刈って風の通り道を作ると、土の中も空気が通り、水の通りも良くなる。

そんな土地づくりの考え方があると聞いた。

 

風の流れ、水の流れ。

地面の中の見えない動き。

それはまるで経絡の考え方。

 

踏みしめられて硬くなってミミズも住めないような地面、

玄関先の低いところの雨水がたまったぬかるみ、

ブロック塀におおわれた風の抜けない庭の片隅。

 

人間の都合であちこち寸断してしまった空気や水の流れを、

生き物がきちんと呼吸できるような、つながりのある場所にすること。

 

それはまさに治療そのもの。

体の中の土木作業。

人間も自然の一部です。

 

反省

瞑想して自分のなかを見つめていたら、

患者さんを治せなかった悔しさが強く残っていました。

 

悔しさを技術向上のバネにするだけなら良いのですが、

自分なら治せるはずと意固地になって治療し続けてしまったら問題です。

治ることを期待して来院される患者さんにも不幸だし、

自分にはどうにもできないことで泥沼にはまる施術者も不幸です。

 

その意味では自分の技術ではどうにもならない症状を見極め、

きちんとお断りすることも大切なことです。

 

いくつもの病院をまわって良くならなかったり、

痛みがひどくて辛かったりする患者さんだと特に心苦しいのですが、

そのほうが長期的にみてお互いに幸せになる確率が高い気がします。

 

先生なんて呼ばれる仕事のせいか ”世のため人のため” という気持ちになり、

つい自分をすり減らしても治療をしようとしてしまうのですが、

自分が幸せであることが家族や周りの人たちの幸せであることを思いながら、

患者さんと良い関係を築いていけたらと思います。

 

(写真は宮古島のお土産にもらった珈琲豆。店主のモジャ度が気になる…)